枯れ葉のレース。写真:Do |
ひとつ、懺悔する必要がありました。このブログに結果を残していないレースがあります。「関東クロス第2戦 秩父」でのことです。
カテゴリ2残留のためのチケットを手に入れるためにマウンテンバイクで出場しました。
大事なことなので、繰り返し書きますが「シクロクロスのレースにマウンテンバイクで出場」しました。
この秩父のコースレイアウトは、マウンテンバイクが圧倒的に有利なものだと過去の出場経験者から聞いていました。
マウンテンバイクでの出場は、カテゴリ2のレギュレーションからは逸脱してはいません。
しかし、マウンテンバイク有利という甘い誘惑に誘われ、顔を知る多くのシクロクロッサーの中でマウンテンバイクにまたがることになるとは。残留、否、カテゴリ2への昇格の価値がどれだけのものだというのでしょうか。
そんな私のマウンテンバイクを指さされ、顔面の前にまでも指を突き出され「いいのか、それで!」と罵倒されても黙秘を貫き、凍てつく冬の秩父の地にときおり射し込んでくる太陽の光だけを友にスタートの合図だけを黙々と待っていたわけです。
いいのか、それで。いいのか、それで。自問します。これは残留のためのレースです。もはやシクロクロスではなくなっていました。
マウンテンバイクにまたがり、シクロクロッサー失格の烙印を自らに押したのです。
スタートの号砲が秩父の山に轟き、その音に多くのシクロクロッサーが心拍をあげ、それに呼応するように鳥たちの影がざわめくのを感じました。
最前列から先頭で入った第一コーナーで曲がれません。
泥沼化した急な斜面では自転車から降りなくてはなりません。重いマウンテンバイクが体力を削ります。慣れないマウンテンバイクがレースを過酷なものにします。
先頭だった私は、つぎつぎと順位を落としていきます。レースが終わり嗚咽。苦しさに耐え、流れ出たよだれが顔面の体毛に絡みます。マウンテンバイク有利とは何だったのか。
シクロクロスで出場するほうが速かったのではないかと。
それを後悔した瞬間、自らに押したシクロクロッサー失格の烙印が、淡く消えていくのを感じていました。