2012年11月20日火曜日

野辺山シクロクロス(2012/11/18)


楽しみだった野辺山シクロクロスに参加してきた。野辺山シクロクロスの参加は今年で2回目。

去年は野辺山の尋常じゃない寒さに萎えた。ウォーミングアップもせず、冬のロードでノンビリ走る用厚手ジャージを着て最後尾スタートをするという萎えっぷりで、結果もわからない。ブログも下書き3行で闇に葬られた。今年はカテゴリ2デビューを野辺山でできるよろこびが先行して、寒さに負けずチームジャージを纏っての出場となった。

ここで話は1日過去に遡る。今年の野辺山シクロクロスは、去年は試走のみにあてられていた土曜日もレースを行う、2日間にわたる大きな大会となる。初日に子供たちのレースや、コスプレ・仮装で盛り上がるシングルスピードのレースが開催された。

豚汁を食べる人
午前中に試走を3週で終え、雨降る寒い野辺山でシングルスピードのレースを観戦した。その寒さに「豚汁を食べる人」というコスプレで観戦することになる。

きっと走ったほうが暖かいし、サンタのコスプレで子供たちにお菓子を配るほうが夢がある。「ら、来年はシングルスピードのレースにも出よう、ゆ、夢を表現しよう、シングルスピードのシクロクロスを買おう」、もう1台自転車を買う口実を探し求める豚汁コスプレ野郎であった。

明けてレース当日。予報通りの晴れ。風邪が治りきっていなく、予定通りノドも腫れ。前々日まで風邪薬と抗生物質を山盛りで服用していた身、「カテゴリ2デビューを無事故で終える」という、とてもゆるい目標を立てて挑む。殺伐としたレース・イメージなど、一切ない。

しかし、ウォーミングアップはしっかりしたし、サプリのVESPAプロも飲む。「行く道がひらき、うっかり勝てるなら、勝ってしまおう、シクロクロス。据え膳食わぬは、男の恥」の、心境であった。

昇格して第1戦目、上から目線である。この上から目線は、昇格直後のシクロクロッサーたちのありがちな勘違いであろう。カテゴリ2は、3では強かったが、1には上がれない、そこそこ自転車に乗るそこそこ速い人たちの吹き溜まりである。

本当に強いレーサーはあっさり勝ちあがるのだ。そういう例をたくさん目の当たりにし、くちびるを噛んだ男たちの吹き溜まりである。

「緊張してねーよ、ばーろー」
(写真:ミユキ巨匠
そんな吹き溜まりからはやく抜け出したい男たちの戦いは、スタート前から始まっている。スタート順が早い者勝ちで決まるのだ。前のレースがスタートするやいなや、招集場所に自分の自転車を起き、場所取りをする。早い者勝ちと知っていたけれど、あまり前のめりでも恥ずかしいしなと、やや遅めに場に着き4列目に並べた。

「1列6人までですよ」とスタッフに聞いていた善良な吹き溜まりたちが守っていた6人の隙間に、自転車が差し込まれる。真っ先に場所をとるものも、横入りをするものも、なんというか、せこさ爆発である。やや遅めの4列目は、狙い通りでそれはそれでイヤな感じだ。

スタート10分前くらいだろうか、スタッフに導かれ、スタートラインに向かう吹き溜まりの男たち。「少しでも前へ!」と隙間に差し込んでくる荒ぶる吹き溜まりの男たち。6列も何もない、超密度になったその状態に「これ、スタートできんのかよ」と叫ぶ男も。その声にニヤニヤし、自分はまったく戦う前の気分ではなかった。正直、カテゴリ2で走ることだけでニヤけていた。すでに満足していた。

スタートの音が鳴った。遅くはないが、極端に速くはない。自分の脚力が劣っているとは微塵も思わない。前が詰まっていると感じる。

外国人を従えて、そこへ行くのです!(写真:ミユキ巨匠
傾斜のあるアスファルトののぼりへ。ここでも自分の脚力が劣っているとは思えない。十分にこのカテゴリでついていける気がした。抜きどころがないバギーコースへ。前のペースが遅いが、抜けるほどのスピード差ではない。カーブで危ういスリップをする前走者にビビりつつの追走。急カーブで失速する前走者に合わせスピードを落とすと、自転車から降りて自転車を押しつつ、肩をあてて抜く人が。レースとはいえ、少し危険で強引だ。でもそれがレースへ臨む態度であるべきなのかもしれないな、気迫で負けてるよと、レース中に思う。

続いて、道幅の広い牧草地へ。どうも体力を温存してしまい、心拍数も上がりきらない感じ。下りでもテクニック不足で追い込み切れない。

そして泥区間。はじめから決めていた通り、自転車を担ぐ。しかし、担ぎのランは苦手。ここで負荷はマックス。バンバン抜かれる。厳しい。

ああ、泥レースだよ、おっかさん(写真:ミユキ巨匠
泥を終え、2連続シケイン(障害物)、再度短距離の泥区間、林を抜け、階段を駆け上がる。そして2周目へ。2周目も同様に、体力温存で走り、泥のランで削られていく。ラン以外の部分がランのための温存区間になってしまう。

男前に後光が射したよ、おっかさん(写真:ミユキ巨匠
3周目。応援の声がよく聞こえるし、よくみえる。返事までできてしまう。はっきり言ってレースは終わっている。4周目も同様。トップとの同一周回ゴールを目指す。はじめの目標どおり、事故なく完走するんだ。

5周目はもう泥区間を乗って行きたい。ランで消耗するくらいなら乗ってクリアする。やってみてわかる難易度の低さ、これは乗れる泥区間であった。

そして林へ。林の中のヘアピンカーブ(?)の泥区間をギアを落としてクリアした瞬間、タイヤがロックし、異音が。

5周目のここを過ぎたところでディレーラが折れた(写真:ミユキ巨匠
リアディレーラが折れてしまった。そこから担ぎ。ランを嫌がり、乗車でクリアしたはずなのに、その後ランを強いられることになるとは……。トップに抜かれ、周回遅れで完全終了。

トップに抜かれ周回遅れになった男の哀愁(写真:ミユキ巨匠
「カテゴリ2デビューを無事故で終える」という、とてもゆるい目標さえも達成できずに終わった。追い込み切れないレースで、身体から湯気も出ない。

DJガラパは「いいのか、それで!」と言ったとか、言わないとか(写真:小金井三郎
爆笑しながら迎えてくれた小金井三郎(写真:ミユキ巨匠
レース後、しばらくしてカテゴリ2の男に「どうすか、カテ2は」と先輩風をふかされるが、どうもこうもない。次はみておれ。

どんなレースも死に物狂いで挑め。体調が悪くても、苦手なコースでも結果がすべて。うっかりするとレース後も口撃されるのだ。レースはレース前から始まっているし、レース後もレースは終わらない。そんな吹き溜まりに私はいる。

楽しかったね、野辺山シクロクロス。応援ありがとうございます。また来年。


2012年11月5日月曜日

GPミストラル第3戦(2012/11/04)

夜走るナイトシクロクロスと、昼走るシクロクロスを土日で2連戦やってしまう信州の飯山か、いつもの慣れ親しんだGPミストラルの吉見か。悩ましい選択であったが、やっぱり大好きなGPミストラルに参加することにした。

先週の東北シクロクロス猪苗代湖では、レース中に力を抜きつつ走るところ、抜いてためたその力を爆発させるところとメリハリをつける走り方を、ほんの少しだけ掴みかけた。

どうしても脚を使わなくてはいけない砂地にすべてを賭けて走った猪苗代。ブレーキのトラブルに泣いた猪苗代。枕元にカメムシが現れる猪苗代。猪苗代で掴みかけたシクロクロスの流儀を今日の吉見にぶつけよう。

現地入りしてすぐ、コースの試走に出る。砕けやすい砂の塊がゴロゴロとしたコースはとても走りにくい。試走でさっそくイヤになる。猪苗代のなんたらがまったくいかせそうにない。おまけに、またもやシケインが上り坂にある。

「いじめればいいってもんじゃないんだよ、軽快にシケインを飛び越える姿も美しいのであります! オーガナイザー反省しなさい!」と。

と、言ったところで、何もならないので、力を爆発すべきところを探す。ほかの人が無理でも、自分なら行けそうな場所。

・壁のような上り坂
・粘土質な泥のジグザク

試走している人たちを見渡すと乗車率が低い。ここを全部乗ってクリアする。前がつまると、乗れるものも乗れない。だから先頭で通過する。それで後続に差がつく。

試走後、スタートまで時間がある。

「あ、ブログ読んでます」「あさかさん、ブログ読んでます」
「こないだのブログ読みました」「ブログ読んでますので」

今日は何人来るんだよ。動揺作戦か。それうれしいから。

準備しっかり(イケメンカメラのオダさん撮影)
スタート1時間20分前からローラーでウォーミングアップ開始。心拍の上がりが悪い。心拍があがる前に脚が痛くてあげられない。

スタート1時間前。VESPAプロを飲む。スズメバチエキスがガツーンと効くらしい。スズメバチには1度刺されてるし、ガツーンと昇天するかもしれない恐怖のサプリ。飲んでローラーを続ける。最大心拍数の90%以上にあがらないまま、招集時間が迫りウォーミングアップ終了。

招集。チームポイントのおかげで最前列スタート。「ドキドキしてこわいですねー」と隣の人が言う。緊張してるし、ほんとにそう思うので「こわいですね〜」と全肯定する。

スタート! そこへ行くのです!(イケメンカメラのオダさん撮影)
スタート! ペダルのはまりがイマイチ。じゃっかんスタートが遅れる。「ドキドキしてこわいですねー」の人が、下ハンをもってガシガシ進んでいく。さっきの弱気発言はなんだったのか。

砂利道の直線でかわしてトップ。あとは試走のイメージを実行するのみ。ピタリと後ろにつく人の気配がある。少し無理をして踏んでもついてくる。

「壁のような上り坂」手前でインナーに入れ、ぐいとのぼる。後ろではシューズで土を踏む音が。坂で降車しているようだ。しかし、差は広がらない。

意地でも乗って行くのです!(tannenbaumさん撮影)
3位以後は遠く離れた。ついてくるならついてこい! このまま、ふたりで昇格しようじゃないか。

泥のジグザクへ行くのです!(ゆみちゃんさん撮影)

脚の痛みに耐え、そこへ行けばいいのです!(イケメンカメラのオダさん撮影)
ラスト1周に突入。まだ後ろにいるようだ。自分のペースで先頭を走る。「苦しい」と思った瞬間「苦し楽しい」と思うようにする。念じる。

後ろはカメラに写りにくいのだ、がはは(イケメンカメラのオダさん撮影)
ラスト半周。シケインを超え、サドルに飛び乗るが、失敗。2度飛び乗ることになる。その隙をついて、左をぶちぬかれた。バビューンと音が聞こえた。その時を待っていたのだろう。

あらよっと(tannenbaumさん撮影)

バビューンの瞬間(tannenbaumさん撮影)

そのまま追いつくことなく先頭から9秒差遅れの2位でゴール。3位には1分ほど離した。たくさんの「昇格おめでとう」の声。咳き込む自分に「その咳をしてこそ、シクロクロッサー」という褒め言葉(?)。ああ、嬉しいね。

ピッタリついて勝機をうかがっていた勝者をズルイと思う人もいるかもしれない。「一番強かったのはあさかだ」、そう言ってくれる人もいた。でも、自分としてはペースをつくらせてもらった気がしている。

早い段階で、1発バビューンをやられていたとしたら、また心がボキッと折れていたかもしれない。いいんだ、だから。

表彰台で少し泣いた。ああいう場で嬉しさを爆発とはなかなかいかないね。

自分に感動。応援ありがとうございました。次のレース野辺山はカテゴリー2で走ります。

ゴール、2位の2でピース。2位でいいんですよ!(イケメンカメラのオダさん撮影)
昇格してもぜんぜん懐いてくれない(tannenbaumさん撮影)