2013年7月23日火曜日

マウンテンバイク全日本選手権マスターズ(2013/7/20)

マウンテンバイクへの苦手意識はなくなったが。撮影:伊東さん
マウンテンバイク全日本選手権マスターズに出場してきた。

職場の体制が変わり練習量が激減。焦って負荷をかけヒザを壊し、それにプラスして背中の骨を骨折と、まぁいろいろと劣化要素満載のその後であった(詳しくは聞かないで)が、その骨折からの復帰したJシリーズのきじま平では、今度は1周もせずにチェーン切れリタイア。結果的に温泉まったり1泊旅行となってしまった。

ただ、このきじま平での試走と約半周の本番で、マウンテンバイクへの苦手意識がイッキに吹き飛んだ。マウンテンバイクでもシクロクロスと同じく追い込める。乾いた路面なら臆せずにやれる。

やられ役でも美しく。ここで目指す美しさとは、一切のトラブルなく、優勝選手と同一周回すること。とっても高い理想を求めるあまり、プレッシャーで潰れそうに。

前日に食べたサービスエリアでの、味噌カツ丼の油が合わなかったのか、トイレに通うこと6回。必死にヨーグルトを食べるレース前の夜、猫の餌を狙うアナグマが出没する宿で寝る。

レース当日。天気は曇り、最高気温23度と予報。試走時間の1時間後がスタート時間だからウォーミングアップは、試走で追い込むことにしていた。1時間たっぷり試走する。前日の試走と当日の試走でコースは頭に入った。

川をわたる前の、真下にズドンと落ちる急角度のセクションも29erの大きな車輪が心に余裕を与えてくれる。みんなが行けるのだから29erに乗っていて行けないわけがない。前日の試走1週目で目の前の人が前転していたが、気にしない。涼しい顔でこなし、自分に酔うのだ。

スタート30分前、カフェインがたっぷり入ったメイタンのアレを飲む。スタート位置は最後尾からひとつ前あたり。スタートループ+本コースを6周まわれば完走。

撮影:京都のマリオさん
スタートループは、スタートしていきなりシングルトラックに突入させず、スタートの混雑緩和を狙った広い舗装路を含んだもの。後方不利の大渋滞が発生しない考えられたコースレイアウト。

スタートの合図。脚を使わず前に上がりたい。が、マスターズといえども、やっぱりそれは全日本選手権。全体のスピードが速い。速くても集団落車がおきそうな危険な感じがないのが、これまた全日本選手権という感じだろう。まっすぐ走れる人ばかり。

インからスタートしていたが、アウト側に抜け、傾斜のついた舗装路を駆けあがって前へ行く。あがって4分の1くらいまでが限界か。そしてマウンテンバイクにふさわしい起伏のあるコースへ。

傾斜のきついところで、ベテラン勢に抜かれる。長いのぼり坂は、心が折れるには十分す
撮影:京都のマリオさん
ぎるほど考える時間がある。追い込まれ、こわばった身体での下りは、コントロールが危うくなる。

試走では簡単だったコーナーの難度が劇的にあがる。

落ち着いて乗った試走のほうがタイムがいいのではないかというくらい落ち着きのない下り。身体を支持するふくらはぎがプルプルと、意志をもって主張する。

ズドンと落ちるセクションをクリアし自分に酔うも、すぐにまた考えてしまうのぼり坂。パラパラと他の出場者が見えるが、先頭が1周を終えたアナウンスが遠くで聞こえる。切られることがわかっても走り続けるレースは孤独だ。「あさか遅い! あさか遅い!」という外野の声に苦笑い。そう、自分は遅い。誰よりもね。

撮影:伊東さん
さて、何周できるだろうか。この折れた心で。ニュートラル・サポートがボトルをかかげ、声をかけてくれる。折れてしまった自分にその水を受ける権利があるのだろうか。脚がつるほどの力をこめているか。サポートは全力で挑むもののためにある。

ニュートラルを正視できない。
無念。撮影:小金井三郎さん

淡々と淡々と、やはり脚がつる気配さえもなく時間は過ぎていく。そしてスタートラインに戻る手前で、運営スタッフに制止される。

まだコースを走っている人たちをボンヤリと眺める。自分はここにいる誰よりも遅い。わかってはいたけど、愕然とする。

結果はスタートループ+本コース3周、走行時間は50分ほど。60人の出走で52位。

腰がつる。自販機から吐き出されたコーラと釣り銭が遠い。余力なんてなかった。折れた心のせいではない。結果は実力の通りだろう。

悔しい。しかし、実力差が明確になるレースは楽しい。来年も出たいと思った。完走したいと思った。

同じレースで完走を果たしたドSのS田さんに言われた「今日は何しにきたのー?」がまた効いた。