2011年8月26日金曜日

なぜ、クロス車ではハンドルをしゃくるのか

シクロクロスのハンドル・セッティングでよくみられるものがある。ブラケット部分を身体に近く斜めにする「しゃくる」セッティングである。

これにより、よりコンパクトなポジションをとれると聞く。

ステムを短くすることで、しゃくらずコンパクトなポジションをつくることだっていくらでも可能に思えるので、この理由はどうも腑に落ちない。

腑に落ちないが、メリットがあるとして多く語られているのだから、コンパクトなポジションにする以外に、何か重要な理由があるはずだと自分は推測する。

で、実際自分のハンドルをしゃくって、すぐに乗ってみて気がつくことがある。重心が前から後ろに多くかかるようになるのである。意識しなくてもやや後輪荷重になる。

泥だらけのスリッピーなシクロクロスの路面で有効になるのが、後輪にしっかりとしたトラクションをかけることである。後輪に荷重し、タイヤを回転させることで強いトラクションをかけることができる。

シクロクロスの女子マスターズ世界チャンピオンになった荻島美香さんであっても「前輪が滑ったら転けるしかない」と言っていたくらいで、前輪が滑ったらジ・エンド。

前輪が滑るのは、前荷重気味であるから。疲れがでてくると無意識に前傾姿勢をとってしまいがちである。前傾姿勢が前荷重をつくる。

では、どんなに疲れていても前荷重にならないようにしてしまえばいい。その結論として、ハンドルのしゃくりがあるのではないか。

ホントかなと考えるより、試しにやってみてほしい。操作性を損なわず、やや後ろ荷重になったらきっと効果がある。

アーレンキーひとつですぐに変更できるのでダメなら戻せばいい。

ただ、欧州で活躍する選手のセッティングを観察すると、日本の選手ほど目立つしゃくりはあまり見ない。「日本流のしゃくりセッティングは世界を見据えていない、だから世界との差が縮まらない」と、ある日本の選手は言った。

ううむ。